グルタミン酸仮説をもとにつくられたメマリー。
第一三共から販売されているこの薬の効果や副作用を詳しくみていきましょう。
Contents
認知症薬・メマリーってどんな薬?
まずは、グルタミン酸仮説から見ていきましょう。
少し難しい話になりますが、グルタミン酸が出るまでの流れから話します。
神経細胞には、情報を伝達するシナプス(前シナプス)と情報を受け取る側のシナプス(後シナプス)があります。
前シナプスから放出される神経伝達物質のグルタミン酸ですが、分泌量は一定ではなく記憶をするときは大量に分泌されます。
また後シナプスにNMDA受容体があり、これは普段は別の物質(マグネシウムイオン)と結合しています。
グルタミン酸が分泌されると結合が外れ、NMDA受容と結合します。
その時にシナプスの間にあるカルシウムイオンが神経細胞内に入り、情報が伝達されます。
伝達されたことにより、またNMDA受容体とマグネシウムイオンが結合し、カルシウムイオンが神経細胞内に入らなくなる。
こうやって記憶は形成されていきます。
(引用元:http://amani-omega3.com/)
アルツハイマー型認知症の症状は、グルタミン酸が多量に分泌されていることが確認されています。
グルタミン酸仮説とは、グルタミン酸が多量に分泌されることにより、NMDA受容体とグルタミン酸が結合することにより、神経細胞内にカルシウムイオンが多量に流れ込み続けてしまうことにより、記憶形成ができないという仮説です。
認知症薬・メマリーの効果は?
上記のグルタミン酸仮説をもとにして、開発されたのがメマリーになります。
この薬はNMDA受容体拮抗薬になります。
つまり、グルタミン酸がNMDA受容体と結合する前にマグネシウムイオンの代わりにNMDA受容体と結合します。
(引用元:http://www.igaku-shoin.co.jp/)
それによって、カルシウムイオンが神経細胞内に過剰に入り込むのを防ぎ、記憶の形成を正常化させます。
⇒認知症の症状はどんなもの?具体例は?中核症状と周辺症状とは
⇒認知症の薬はどんなものがある?種類は?副作用は?管理方法は?
認知症薬・メマリーの副作用は?
最も多くでる副作用にめまいがあります。
このめまいの副作用のため、メマリーの服用量は、最初は少量から始め、4週間かけて規定量まで持っていきます。
それ以外の副作用としては便秘や頭痛、傾眠があります。
また重大な副作用として肝機能障害、黄疸、痙攣、意識消失などがあります。
(引用元:http://image.space.rakuten.co.jp/)
またメマリーの排出は腎臓からになるので、腎機能障害のある患者には、服用量の制限があります。
認知症薬・メマリーと一緒に飲んではいけない薬は?
他の認知症の薬とは、併用することが出来ます。
パーキンソン病に使われるレボドバ製剤は併用に注意が必要です。
それ以外に注意が必要な薬はプレミネント、エカード、ミコンビ、タガメット、シンメトレル、メジコンなどがあります。
また併用してはいけない薬は、アマンタジン、ケタミン、メマリー以外のNMDA拮抗薬です。
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まとめ
メマリーは初期の痴呆症患者ではなく、中程度のアルツハイマー型痴呆症患者に処方される薬です。
また、他の認知症薬と同様、根本治療されるものではなく、あくまでも対処療法になりますので、痴呆症そのものが治るものではありません。
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