ストレス社会の現代で生きる私たちの中で、うつ病に罹患する人は年々増加しています。
ですが、風邪などのように目にはっきりと見える症状が少ないことから、怠け病だと言われることも少なくないようです。
そんなうつ病について、正しく知り、理解を深めていきましょう。
Contents
うつ病になるメカニズムは?
うつ病は罹患する原因などがいまだにはっきりと解明されていないのが現状です。
ですが、その人がもともと持っている「うつ病になりやすい性質」や、「環境的な要因によるストレス」が関係していると考えられています。
さらに、脳の神経の、情報伝達物質量が減少するなど、脳機能に異常が生じていいることもわかってきています。
【うつ病になりやすい性質】
これには、「もともと(生まれながらに持った)素質」と、「性格や考え方の傾向」があると考えられているのですが、前者については解明されていないことが多々あるため、ここでは後者について見ていきます。
※うつ病になりやすい性格や考え方を持っているからと言って、必ずしもうつ病に鳴るわけではありません。
- うつ病が起こりやすい性格
きまじめな性格
・几帳面
・仕事熱心
・凝り性
・責任感が強い
・何をするにも徹底的
・限界まで頑張ってしまう
・正直でごまかしができない
・対人関係をとても大切にする(他人との衝突を避け、他人に尽くすが、自分の周囲が思うようにできる状態にならないと安心できない)
社交的な反面、気が弱いところもある性格
・社交的
・親切
・親しみやすく好人物
・善良
・明朗で活発
・静か
・気が弱い
・他者を優先させる
・さびしがり屋
・反省的
【うつ病の誘因となるストレス】
ここでいうストレスの大半は、「環境の変化」です。
※必ずしも悪い、もしくは劇的な変化だけではなく、良い変化であったり、普段の些細な出来事であったり、そういったものもストレスとなってうつ病を引き起こすことがあります。
- うつ病のきっかけとなるストレス
仕事を持つ人に多いストレス
(事業の不振・失敗、異動、昇進、退職、単身赴任、リストラ、不本意な仕事、etc.
女性に多いストレス
(妊娠、出産、子育て、更年期障害、職場のセクハラ、etc.
その他
(大切な人との離別、離婚・別居、病気・事故、ローン、子供の結婚・独立、大きな問題の解決、etc.
うつ病は、生まれ持った性格や自らが置かれている環境、抱えているストレスなどが複雑に絡み合って発症するようですね。
そんなうつ病になったら、一体どういった症状が出てくるのか、見ていくことにしましょう。
うつ病の初期症状は?
うつ病になると、以下のような症状が現れるとされています。
・食欲が低下する
・夜眠れなくなる
・朝起きづらい
・無気力になる
・気分が晴れない
・自己嫌悪に陥る
・集中力が欠如する
・思考能力が低下する
・上手く話せなくなる
・ちょっとしたことでイライラする
その他に、自律神経が乱れることから、下痢になる人もいるようです。
また、ストレスから頭部の湿疹、円形脱毛症になるひともいます。
これらは自覚が容易なものですが、うつ病以外の可能性もあるため、これだけでうつ病だと気づくのは難しいと言えます。
ストレスが改善されるとうつ病も改善される?
うつ病の改善には、ストレスを軽減させることが大切だと言えます。
ここでは、「泣く」ということに関して見ていきましょう。
うつ病の患者は自律神経のバランスが乱れている状態にあります。
自律神経には交感神経と副交感神経のふたつがあり、日中は主に交感神経が働き体を集中させ、夜は主に副交感神経が働き体を休ませます。
日中と夜の自律神経の働き、この切り替えがうまくできなくなっているうつ病患者は、特に交感神経優位で、体が休まらず、疲れを溜め込んでいる傾向にあります。
自律神経は、自らの意思で動かせないところを動かす働きがあり、そのひとつが涙腺です。
涙腺は副交感神経の影響の下にあるため、涙を流すことで副交感神経が刺激され、リラックス効果が得られます。
よく、泣いた後に眠くなったりお腹が空いたりするのは、副交感神経の働きによるものとされています。
このとき、眠気に素直に従って睡眠をとることにより、いつもよりスムーズに眠りにつくことができ、体を休ませることができます。
よって、うつ病の改善のためには、例えば夜寝る前に泣ける映画を見るなどするといいでしょう。
※うつ病の初期には注意が必要
うつ病の初期は特に抑うつ症状が強いため、何に対してもやる気が起きないことがほとんどで、その状態で無理に映画を観るなどの行動を起こそうとすると、逆に負担になることがあります。
また、周囲の人がこのような行動を勧めるのも避けるべきでしょう。
上記の方法は、うつ病がある程度回復し、自分から行動できるようになってから行うのが無難です。
うつ病に種類があるって本当?
うつ病と一口に言っても、その症状は様々でしたね。
そんなうつ病に種類があるというのは、果たして本当なのでしょうか?
実はうつ病は大きく分けて3つの種類があるとされています。
【大うつ病】
強い抑うつ症状が続く種類のこと。
従来「うつ病」と呼ばれていたもの。
一般に「うつ病」といえば、これを指す。
大うつ病の“大”とは、症状の大きさ、重さのことではなく、「“主たる“タイプ」という意味で用いられる。
【双極性障害】
「双極性」とは、強い「抑うつ状態」と、気分の高揚した「躁状態」のふたつの症状を併せ持つという意味。
抑うつ状態のときは、ほかのうつ病とさほど変わらないが、躁状態になると「多弁」「自意識過剰」「活動性が極端に高まる」などといった抑うつ状態とはまるっきり正反対の状態になる。
【気分変調症】
軽い抑うつ状態が長く続く種類。
若年層に多いとされる。
このタイプの特徴として、大うつ病に比べ、抗うつ薬が効きにくい。
そのため、薬物療法に加え、認知療法や環境等を調整することで症状を軽くしていく。
【その他のうつ病の種類】
どれも通称のようなもので、正式な分類名ではない。
・仮面うつ病
・微笑みうつ病
・季節性うつ病
・難治性うつ病
これらが挙げられる。
通称を含めても、うつ病には多くの種類が存在することがわかりました。
うつ病ってなんだか奥が深いですね…。
男性よりも女性の方がうつ病にかかりやすい?
うつ病の男女別の罹患率はどうなっているのでしょうか?
(引用元:http://www.mental-navi.net/index.html)
このグラフにあるように、女性の方が圧倒的に男性よりうつ病になりやすいということがわかります。
では、年代別ではどうでしょうか。
(引用元:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html)
これを見ると、どの年代でも女性のうつ病患者が多いということがわかりますね。
さらに、うつ病患者は増加の一途をたどっています。
うつ病チェックリスト
うつ病 チェックリスト
下記の9つの質問に(はい・いいえ)のどちらかで答えてください。
1 憂うつな気分
一日中、憂うつや気分の落ち込みが続いて、気分が晴れることがない
(はい・いいえ)
2 興味や喜びが感じられない
ほとんどのことに興味がなくなり、もとは面白かった趣味も楽しめない
(はい・いいえ)
3 体重の減少や増加
意図して食生活を変えていないのに、1ヶ月で5%以上体重が減るか、増えるかしている
(はい・いいえ)
4 不眠や睡眠過多
毎晩、寝つきが悪い、何度も目が覚める、早く目が覚める。または、逆に長時間眠りすぎる。
(はい・いいえ)
5 行動や動作の変化
「そわそわして、じっと座っていられない」、逆に「ふだんよりも話し方や動作が緩慢である」と、
周囲の人が、行動や動作の変化に気がついている
(はい・いいえ)
6 疲れやすさや気力の減退
疲れやすさ、気力の減退が、毎日続いている
(はい・いいえ)
7 自分を責める
「自分の責任でないことまで、自分を責める」
「自分には、何の価値もない」という思い込みがあって、周囲の人が説得しても考えを変えられない
(はい・いいえ)
8 集中力が減退して、ものごとを決められない
考えようとしても集中できず、洋服を選ぶとか、
日常の買い物といった、簡単なことでも、決められない
(はい・いいえ)
9 死にたい気持ち
自分の状態がつらくて、「死にたい」「死んでもよい」という気持ちがある。
(はい・いいえ)
(引用元:http://www.ntv.co.jp/)
(はい)が5つ以上、そして二週間以上その症状が続く場合はうつ病の可能性があります。
当てはまった方は、一度医療機関で受診することを勧めます。
いかがでしたでしょうか?
うつ病が発症する原因から症状、チェック方法までご紹介しましたが、少しでもうつ病についてご理解されましたか。
うつ病は誰でもかかる可能性がある身近な病です。
自分には無縁だと思っていた方も、これを機に少しうつ病のことを頭に入れておいてみませんか?
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