(最終更新日:2017年1月14日)
「1回注射するだけで、このつら~い花粉症の症状と別れられますよ」
って囁かれたら注射しますか?
「注射嫌いだけど一回でいいなら受ける!」と即答する前に、
メリット・デメリットを落ち着いて考えてみましょう。
ステロイド注射(ケナコルト)はハイリスク・ハイリターン?
少し難しい話になりますが、まずはステロイドについてです。
人間は体内の副腎皮質でホルモンを分泌しています。
この副腎皮質ホルモンは感染、発熱、外傷、出血などの症状があるときに
分泌され人の生命の維持を行っています。
この副腎皮質ホルモンを合成して作られた薬剤がステロイド剤です。
問題になるのは、ステロイドが体内に吸収されると、副腎皮質ではホルモンを生産しなくなってしまう、という点です。
特にこのケナコルトは持続性の高いステロイド剤で、
内服薬のステロイドの影響は数日なのに対し、1ヵ月程度の影響力を持続させます。
基本的にステロイドの使用方法は短期間で集中的に治療する、という点にあるのですが、
花粉症などの長い期間の症状に使用するのはリスクが高いように思います。
ただ効果は絶大のようで20年花粉症に苦しんだ人も、
この注射でつらい花粉症から解き放たれた、という報告もあるんです。
(引用元:https://www.bing.com)
どんな副作用があるの?
副作用は他の花粉症対策の注射より多く群を抜いています。
- 感染症(カビや命に関わる感染症)や副腎機能不全(体がだるくなったり死ぬことがあります)
- 皮下注射箇所の筋肉の萎縮・陥没(頻度が高い)
- 糖尿病(起こる可能性が高い)
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍
- 高血圧
- 肝機能障害
- 緑内障(視力、視野障害)
- 精神障害(うつ病)、全身倦怠感(リバウンド現象)
- 骨粗鬆症(骨密度が低下する)
- 生殖機能障害
- 生理が止まってしまたり、逆に止まらなくなることがある
- 満月様顔貌、顔面紅斑
どれも自分では判断の付けづらい、かつ、重症化すると中々治らない症状ばかりなんですね。
(引用元:https://www.asahikasei-pharma.co.jp)
特に女性は気をつけたほうが良いワケ
厚生労働省のホームページには、ステロイド注射についての記述がありますので、
そちらから女性の影響についてみてみましょう。
ステロイド注射をした場合、ステロイド剤の血中濃度は3時間でピークに達し、
その後3週間、濃度が維持されるそうです。
そこから2週間、副腎皮質ホルモンの一つの血中の値は0になり、副腎皮質機能の抑制は3~4週間続きます。
排卵に与える影響としては、卵胞期初期(月経が始まってから排卵まで)に投与した場合、
排卵は2週間以上抑制されてしまい、再開されるのは3~6週間後という報告があるそうです。
妊娠を考えている人などは特に注意が必要になりますね。
まとめ
悪影響のことばかり書いてしましましたが、接種した人には花粉症の症状が改善されて、
喜んでいる人がいることも確かです。
大切なことは、良い面と悪い面、その両方をよく知ることです。
信頼出来る医者と十分に相談した上で、接種を考えてみて下さい。
必ずリスクの説明がある医者を選ぶことをお忘れなく。
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